エレベーター 定期点検を確実に手にする方法
超監視社会の行きつく先そういう意味では私自身、部年聞のジャーナリスト生活の大半を事件の取材に費やしてきた。
なんとか時間をやり繰りして、小学生の女の子と、男の子が幼い命を失った、秋田県藤里町に行ってきた。
犯罪被害者の方々、遺族には、これまで何人、お目にかかってきたであろうか。
被害者の癒えぬ悲しみ、憤り、やり場のない怒りは、人一倍知っているつもりである。
だけど、それを踏まえた上で、私は、共謀罪をはじめとする様々な法律、監視社会の出現に関しては、より慎重であるべきだと、強く感じている。
犯罪を未然に防ぐという大義の下に共謀罪を今のような形で成立させてしまったら、は、もっと未然に防ぐ方法はないのか、という議論に当然、移行して行く。
もっと未然に防ぐには、共謀罪のように話し合った段階で検挙するのではなく、起こしそうな人を事前に検挙してしまえば効果的だ。
相談するも何もない。
「こいつは、こういう罪を犯しそうだ」と捜査機関が判断した人主を予め捕まえて閉じ込めておく。
そうすれば、絶対にその人物が罪を犯すことはないし、犯罪は間違いなく防止できる。
これを法律的には「予防検束」あるいは「予備検束」と呼んでいる。
戦前の旧刑事訴訟法の下では頻繁にこの方法が用いられた。
主に天皇が行幸するときなどに、天皇制に反対していた当時の共産党員、あるいは過去に天皇制に異を唱えた人たち、それに精神病の病歴者。
こうした人たちを天皇が訪れる何回も前に容疑もなく拘束し、天皇がその地を去るまで身柄を押さえていたのだ。
さすがに今の警察は予防検束まではしない。
だけど、例えば、サミットなど、大きな国際会議があるときや、ブッシュ・アメリカ大統領などが訪日するとき、一体、いつの事件なんだ。
今ごろ、なんでそんな事件を検挙するんだといった容疑でかつての過激派活動家らが逮捕される。
これは元大阪高検公安部長のM氏も言っていることだが「公安警察、犯罪を公安検察か超監視社会の行きつく先ら見ると明らかに現代版の予防検束ということになる」だろう。
犯罪を未然に防ぐことが何よりもすばらしいと思っている人は「お前はこんなことを考えたことがあるだろう」「お前はこんなことをしてみたいと思ったことがきっとあるはずだ」ただそれだけのことで、何日も警察の留置場に置かれる。
そういう社会も容認しようというのか。
小さいころ、ほんの出来心でお店の釣り銭をくすねたことがあるとしよう。
だけど、大人になってからも「この人間は子どものころには手癖が悪かった。
だから、事前に情報を流して、金融機関やスーパー、会社の経理部門、そういった現金を扱う所には職を得られないようにしよう」ということにする。
確かにそうすれば、犯罪を未然に防ぐ効果はあるかも知れない。
しかし私たちは、幼いときのほんの小さな過ちも人が生涯、引きずって行く社会を望んでいるのだろうか。
無菌室のような社会は本当に人々にとって居心地のいい空間なのだろうか。
私は共謀罪の新設はそんな居心地の決してよくない社会の始まりという気がしてならないのである。
そうした問題点は、政府案だろうと、与党修正案だろうと、民主党案だろうと、ともにはらんでいる。
百歩譲って、国際条約上、どうしても必要だというのであれば、私は石橋を附いて渡るどころか、叩いた上でなお、渡らないぐらいの慎重さが必要だと感じている。
一方で、第164回国会で審議された法案で、人の心にまで踏み込んだ法案は共謀罪一つだっただろうか。
実はそうではない。
そういう意味で、この国会は、極めて危険な要素の多い国会だったと言えるのだ。
そう、もう一つは、教育基本法の改正(改悪)法案である。
これは自民党の長年の悲願だった愛国心を盛り込むかどうかで、与党の自民党と公明党も額を突き合わせて協議したという法案だった。
結局は共謀罪同様、次期国会への継続審議となったが、法案には初めて愛国心が「我が法は人の行為を裁き、規制す共謀罪はそのタブーを犯すもの、と郷土を愛する態度を養い、他国を尊重し」という表現で盛り込まれ、やっと国会に上程となった。
「国」と「愛する」の聞に「郷土」が入ったから、「愛」と「国」が少し離れた。
愛国心に警戒感を持っていた公明党も、まあ、これでいいじゃないか、と思ってくれるはずだ、という何とも珍妙な妥協の産物なのである。
だけど、私はあちこちで「これは国家的ストーカー法だ」としゃべったり、書いたりしている。
超監視社会の行きつく先そもそも「愛する」という人の情、内心の部分を法律で縛ること自体、おかしなことではないか。
そういう意味では共謀罪に通底するものがある。
男女の間でも、いきなり相手の所に行って「キミはオレを愛すべきだ」とやったら、たいていの女性は飛んで逃げる。
この男、頭おかしいんじゃないの、と思うはずだ。
たいがいの男は、そこで引っ込む。
愛してほしかったら、自分が愛されるに足る人間になろうと思うのが、普通の異性聞の交際である。
ところが、この教育基本法の考えは「愛すべきだという法律を作ってしまえ。
ええい、どうだ。
法律に決められているんだから愛さないとただじゃすまんぞ」とやっているのだ。
これを国家的ストーカー!と言わずしてなんと言う。
変質者、変態の所作である。
法律を作ってこんなことを国民に強制するのは、とりも直さず、法で縛らないと、誰も国を愛してくれない。
為政者はそれを認めたようなものではないか。
諸外国に対してもみっともないとは思わないのか。
愛されたかったら、愛されるような国になること。
それに尽きるではないか。
共謀罪に教育基本法、今私たちの心の内に法律が土足でドカドカと踏み込んできているのである。
国会はまず、有事に備えた周辺事態法を成立させた。
ついで日の丸を揚げろ、君が代を歌えの国旗国歌法。
そうこうするうちに、盗聴法(通信傍受法)も通ってしまった。
超監視社会の行きつく先もうここまで国民をガンジガラメにしたんだからいいだろう、と思っていたら、ええい、仕上げの一丁とばかりに住民基本台帳法の改正案(住基ネット)まで可決させてしまった。
その後も個人情報保護法、そして今回の共謀罪、まさしく的年の比ではない。
バラバラに成立したので、ついついごまかされてしまいそうだが、これらを全部合わせると、戦前の治安維持法どころではない。
超のつく国民監視社会であるというのは、多くの法律学者が指摘しているところである。
もちろんこれらの法律審議で政府は、ことごとく「拡大解釈はしない」とし、国旗国歌法についても、当時の小淵配三首相は「決して国民に強制するものではない」と答弁している。
だが、それが今ではどうだ。
I都知事の厳命一下、東京都では公立学校の卒業式、入学式に都教育委員会の職員が出向き、教職員が起立しているかどうかはもちろん、大きな声を出して君が代を歌っているか、口をパクパクさせているだけの先生はいないか。
どこをどう突いたら「強制しない」が出てくるんだ。
このように法律制定に当たっての、拡大解釈や強制の有無なんて、成立してしまえば、空手形、絵空事なのだ。
次期国会で正念場を迎える共謀罪の審議でも、決して、忘れてはならない。
これらは総じて国民を縛りつける法律である。
そこでそれらの法律の大本である憲法に思いを馳せてみよう。
憲法というのは、ひとことで言うと、国民が国家に課した法律である。
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